
ヨガにはさまざまな呼吸法があります。
胸式呼吸もその一つですが、あまりなじみのない言葉かもしれません。
ですが、実は私たちがする通常の呼吸は胸式呼吸です。
胸式呼吸とは何か、どうやってやるのか、ヨガではどのように使われるのかを解説します。
目次
胸式呼吸とは?やり方のコツ
胸式呼吸とは
胸式呼吸とは、息を吸ったときに胸がふくらむようにする呼吸法です。
息を吸ったときにお腹をふくらませる腹式呼吸に対して、胸をふくらませるのが胸式呼吸です。
胸式呼吸は、肋骨の間の筋肉を伸縮させて肺を横に広げてるようにして行います。
普段の呼吸も胸式呼吸ですが、意識せずに行っている呼吸は浅い胸式呼吸です。
ここでは、意識して行う深い胸式呼吸について説明します。
胸式呼吸のコツ
胸式呼吸は、鼻から吸って鼻から吐く、鼻呼吸で行います。
胸式呼吸をするときは、骨盤を立てて、背筋をまっすぐにのばしてください。
息を吸う時、お腹がふくらまないように、腹筋は締めておきます。
胸を意識しながら、ゆっくり息を吸い込んでいきましょう。
胸部の骨が動くのを感じ、肋骨を広げていきます。
肺の広がりも感じてください。
ゆっくりと胸いっぱいに空気をとりこんだら、ゆっくりと吐き出します。
細く長く吐いていき、最後まで吐ききることが大切です。
通常の呼吸では、息を吐くことに意識が向かないので、浅い呼吸になってしまうといわれています。
深い呼吸をするためには、ゆっくりと息を吐くこと、取りこんだ空気を全部吐ききることをとくに意識しましょう。
胸式呼吸のメリットは?自律神経(交感神経)への効果は?
胸式呼吸のメリット
胸式呼吸のメリットは、上半身のストレッチができることです。
胸式呼吸では、息を吸うときに肋骨の間にある肋間筋という筋肉を収縮させて胸を開き、空気を取りこみます。
肋骨を動かすときには、肩や肩甲骨も動きます。
肩や肩甲骨まわりの筋肉を動かせるので、血流がよくなるでしょう。
デスクワークなどで前傾姿勢になる時間が長いと、胸の前側の筋肉が縮こまり、凝り固まってしまいますが、胸式呼吸は胸を開くので、胸の前側の縮こまった筋肉をストレッチできます。
息を吐くときは、腹横筋という脇腹の筋肉を収縮させます。
胸式呼吸をするときは、お腹が動かないように腹筋を締めておく必要があり、息を吐くときに腹横筋を使うので、お腹周りの体幹の筋肉が鍛えられるでしょう。
肋間筋や腹横筋は、浅い呼吸では使われず、加齢とともに機能が低下してしまう筋肉です。
胸式呼吸の深い呼吸で肋間筋や腹横筋が鍛えられると、姿勢が改善されるというメリットがあります。
体幹の筋肉が鍛えられると基礎代謝をあげられるので、姿勢の改善だけではなく、ダイエット効果も期待できるでしょう。
肺いっぱいに酸素を取り込むことで血中の酸素濃度が上がり、肺活量がアップして体が活性化することも胸式呼吸のメリットです。
胸式呼吸は交感神経を刺激するので、活動的な気持ちになり、適度な緊張感が出ることで運動のパフォーマンスもあがります。
胸式呼吸と交感神経については、次の項目で詳しく説明します。
自律神経への効果
自律神経は、無意識のうちに働いて人の体の機能を保っている神経です。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。
交感神経は活動するときに優位になり、主に昼間に働きます。
リラックスしたときに優位になり、主に夜間や睡眠中に働くのが副交感神経です。
交感神経と副交感神経のバランスを取ることで、体の機能は正常に保たれます。
腹式呼吸が副交感神経の働きを高めるのに対して、胸式呼吸は交感神経の働きを高める呼吸法です。
交感神経の働きが高まると、心身が活動的になり、頭がすっきりして目がさえます。
胸式呼吸は仕事や勉強の合間にリフレッシュしたいときに有効です。
朝目が覚めたときにやるのもおすすめです。
胸式呼吸は体に適度な緊張感をもたらすので、運動前の準備として行ってもよいでしょう。
運動前に胸式呼吸で深く呼吸すると、トレーニングの効果が高まります。
現代人は交感神経を働かせる時間が長く、副交感神経の働きが足りていないといわれています。
そのため、交感神経の働きを高める胸式呼吸はよくないものととらえる人もいるかもしれません。
ですが、自律神経のバランスをとるためには、活動の時間である昼間には交感神経を働かせ、休息の時間である夜間や寝る前には副交感神経を働かせるという切り替えが大事です。
胸式呼吸の深い呼吸で活動の時間であることを体に認識させるのは、健康な体作りのために必要なことといえるでしょう。
ヨガと胸式呼吸の関係は
ヨガは、腹式呼吸が基本ですが、運動量の多いヨガでは胸式呼吸も使います。
胸式呼吸を使うヨガとして知られているのが、アシュタンガヨガです。
アシュタンガヨガとは、決められた順番に従って流れるようにポーズをとるヨガです。
動きを止めることなく行っていくので、運動量が多く、エネルギッシュなヨガです。
中上級者むけのヨガといえるでしょう。
アシュタンガヨガには、ウジャイ呼吸とよばれる呼吸法があります。
ウジャイ呼吸は胸式呼吸です。
呼吸をするときに喉の奥を締め、空気が通る音を出すのが特徴です。
ウジャイ呼吸によってエネルギーが蓄えられ、気をコントロールできるといわれています。
アシュタンガヨガは運動量の多いヨガなので、交感神経を働かせる胸式呼吸が適しているということですね。
胸式呼吸をやる時の注意点
胸式呼吸をやるときは、座って下半身を安定させましょう。
猫背で前傾姿勢になっていると、胸式呼吸がやりづらく、息を吸っても酸素をたくさんとりこめません。
背筋を伸ばし、息を吸うときに胸を開くことを意識しましょう。
ただ、背中が反ってしまわないよう注意が必要です。
息を吸ったときに胸が上がるのは問題ありませんが、肩は上がらないようにしてください。
息を吐くときに、肺の中に空気が残っていると、次に息を吸うときに新しい空気を取り込む量が少なくなって、呼吸が浅くなってしまいます。
息を吐くときは最後まで吐ききることを意識しましょう。
胸式呼吸は、交感神経の働きを高める呼吸法です。
寝る前や、リラックスしたいときは副交感神経の働きを高める腹式呼吸を行うようにして、胸式呼吸は控えましょう。
胸式呼吸まとめ
胸式呼吸は、息を吸ったときに胸がふくらむ呼吸法です。
胸を開き、肋骨を広げるイメージで息を吸い、ゆっくりと全部吐き出します。
背筋を伸ばし、お腹が動かないように気をつけて行いましょう。
胸式呼吸は交感神経の働きを高めるので、朝目が覚めたときやリフレッシュしたいときにやるのがおすすめです。
ヨガの呼吸の基本は腹式呼吸ですが、アシュタンガヨガなど運動量が多いヨガでは胸式呼吸を使います。
ヨガの呼吸は腹式呼吸が基本なので、ヨガを始めたら、まずは腹式呼吸ができるようにすることが必要です。
腹式呼吸ができるようになったら、胸式呼吸にも挑戦してみましょう。
アシュタンガヨガをやってみたいと思っているなら、胸式呼吸ができるようになる必要があります。
腹式呼吸と胸式呼吸は、どちらがよい、悪いというのではなく、目的によって使い分けるものです。
意識せずに行っている普段の呼吸では、浅い呼吸になってしまいがちなので、深い呼吸ができるようにしたいところです。
どちらもできるようになっておけば、体調のコントロールが上手にできるようになるはずです。